アートギャラリー


マコンデ族に語り継がれてきた物語、
大自然の恐ろしさを感じさせる飢餓と病気。
アフリカの大地に生きる人々の心を感じさせる作品を展示しています。




   ある時、ルブマ川のマフタというところに、人とも思えぬようすをした男がやって来た。
 彼は、マフタに留まることに決め、夕暮れを迎えた。退屈だったので木ぎれを拾い、それに自分自身とそっくり同じように見えるものを刻み込んだ。夜、彼は出来上がった像をまっすぐに据えて、かたわらで眠ってしまった。
 朝になると、像は命を得て女性になった。彼は彼女とともに楽しく水浴びをした。彼は完全な男になり、彼女は完全な女になった。彼らはルブマ川のほとりに住んだが、しばらくして生まれた子どもは死児だった。水のほとりの他の場所に移り住んでそこで子どもを生んだが、やはり子どもは死んでしまった。次の土地も、その次の土地も、水の近くでは子どもは育たなかった。そこで彼らは水辺を離れて不便なマコンデ高原に住んだ。そこは乾燥していて、女はたくさんの元気な子どもを得た。これがマコンデ族の血統の始まりである。






 大自然の中で生活するマコンデの作家たちの鋭い感性から生まれた表現には、心に訴える迫力があります。
 作家たちのまなざしは、病気の子ども、死斑の浮き出た顔。浣腸している人、病人をかついで医者をさがす人、虫歯の治療をする人、骨と皮ばかりにやせ細った人など、いずれも世界的な社会問題となっている飢餓と病気の現状を、鋭くとらえ的確に表現しています。
 一見ユーモラスに見えるものもありますが、その奥には、言いしれぬ悲しみやあきらめがどこからともなく感じられないでしょうか。








 
リッププラグとは、マコンデ族の女性が上唇に穴をあけて、そこにさし込むアクセサリーのことで、昔は男女ともに見られましたが、最近では年配の女性にしか見られなくなっています。
リッププラグは木製の円盤形をしていて、始めは小さく、子どもが生まれるたびに大きな物に変えていくので、大きなプラグを付けているほど多産な女性として高く評価されています。



 
刺青は、世界各国に見られるもので、特に珍しい習慣ではありません。アフリカではデザインによって部族を象徴しています。
マコンデ族は、針で皮膚の下に染料をさし、文様を彫りつけますが、手荒なせいか、刺青された部分が盛り上がって痛々しく感じられます。男女とも同じ方法で顔・手・胴一面 に直線で幅広く入れられ、胴に示されたデザインにはマコンデ族独特の意味があるとされています。

 





空腹の女
空腹の女

原木の条件を生かして造形した傑作。あばら骨が浮き出て、腹がえぐれるなど、 飢えを見事に強調している。



母と子
母と子

飢えて骸骨のように目は窪んでも、子供に乳を与える母性本能を表している。マコンデの人たちの住む周辺は食物が豊かで飢餓の状況は無い。



虫歯を治す女
虫歯を治す女

背に赤児を背負った母親が、娘の虫歯を抜こうとしている。娘の頬は大きく腫れ上がり、苦痛にゆがむ表情と、自信に満ちた母親の表情が見事である。



総作品点数/16点